エイプリルフールの思い出。
私が小学校5年生くらいでしょうか。
子機があるタイプの電話に買い換えたのです。
これには私、大いに興奮しましたね。
だって、グルグルの線が無いのですから!
それはまるで、未来からの贈り物。
まずは『ビジネスマンごっこ』やりますね。
子機って携帯電話みたいでカッコイイ!
「これから…会議だから!」みたいな!
何が会議だって、このバカタレ!
でも、子どもって大人の世界に憧れてねぇ。
小学校でさ、放課後に保健委員会とかあるでしょ?
その委員長の顔思い出して。
ねっ?得意な顔してたと思うよ~。
テレビの中の会議シーンを想像してるんだよ!
テーマは『手の洗い方』とかなのにね!
話を戻して、子機ですわ。
次にやった遊びは外に出て、電波の限界調査ね。
私の家は2世帯で、下の階に祖父母が住んでたんです。
だから、回線も別。
その電話にかけながら、どこまで届くのかを調べるの。
パートナーは家の妹。
「え~、只今お兄ちゃんは、公園前を通過、どうぞ!」
「え~、まだ声が聞こえてます、どうぞ!」
なぜかトランシーバー調の兄妹。
そんな遊びをしていて、ふっと考えついたのです。
明日は4月1日、エイプリルフールか…。
学校で習ったぞ、ウソついていい日だ!
そこで、作戦会議。
使ったのはもちろん…子機!!
家の車庫から電波が届く。
そこで、家の中の祖母にイタズラ電話をすることにしたんです。
設定は『遠くに住む、ご無沙汰の友人』ということに!
ばあちゃんは日ごろ、
友達からちゃん付けで呼ばれていることもリサーチ済み!
のら猫の小便と埃くさい車庫の一角。
ゆっくりと番号をプッシュ…。
。
。
はい、星野です。
。
。
『あら、佳代ちゃん??元気~??』
声変わりをしていない、男の裏声。意外といける。
。
。
『あたしよ、あたし~、東京の!わからない?』
それに対し、ばあちゃんは、あ~ら~ま~っと感嘆の声。
「東京のナンダカちゃん、久しぶり~。」
まんまとひっかかった!
今考えると、これは『オレオレ詐欺』だね。
まあ、そういった悪気はなかったということで。
『ところで、お孫さんの智哉くんは元気?』
笑いを堪えて、一息で言い切る!
ばあちゃん~、騙されてるとも知らず、何と返す!?
『それが、反抗期で悪いことばっかり!』
『この前も、授業態度が悪いって先生から電話きたんだから!』
ドクン。血液が逆流したのがわかる…。
すぐに適当な理由をつけ、電話を切る。
子機を、積み重ねた冬タイヤの上に置く。
知らないよ、僕。
先生から電話きたなんて…知らないんだから。
これ、めっちゃ怒られる感じでしょ!?
はは~ん、わかったぞ…。
これは、ばあちゃんからの宣戦布告!
『逆エイプリル』しかけてきたな!!!
すぐに家の中へ!
さっきの電話、僕だよ~ん!デッデレ~♪
それに対し、ばあちゃん。
「なんだぁ、また悪いことして!びっくりしたよ!」
逆仮説、ハイ終了。
ばあちゃん、笑っておる…(泣)
これは両親帰ってきたら、説教決定!
エイプリルフールの思い出でした。
☆星野智哉☆